RouterBoard RB3011UiAS-RM 導入

自宅のルータは長らく iptables, dnsmasq あたりで構成した Ubuntu VM で実施してきたが、障害時の対応が面倒なのに加えて、サーバメンテナンス中という何かと急いでぐぐりたい場面で自宅インターネットが使えないという致命的な問題があったので、以前名前を聞いておもしろそうだった MikroTek 社の RouterBoard に移行した。Linux ベースの RouterOS なるものを搭載していて、 RB3011UiAS-RM は ARM ベースとのこと。ネットワーク機能も含めてなにかと仮想化がもてはやされるこのご時世、 VM からアプライアンスに移行するのは時代に逆行しているような気もするけど、自宅だとスケールメリットはおろか冗長構成ですらデータ保全ぐらいしかしないので、シンプルなアプライアンスがよいと判断。ちなみに、 1U Rackmount と書かれているが、この機種は奥行きが狭いのと、 1U ラックの横幅として言われる 19 インチ(482.6mm)はサーバルームで見るとでかそうに見えるが意外と家における大きさなのもあって、ラックサーバを置く気にならない自宅でも意外と現実的な大きさだった。ラックマウント用の金具の他に、普通にその辺に置く用のゴム足も付属した。

今回は、 RN3011UiAS-RMBaltic Networks から購入した。購入したときは取り寄せが必要で一か月くらいかかるとのことだったが、今見ると In Stock なので時期によるかもしれない。購入時、発送方法は料金だけを見て無料だった “Pick up at Lisle warehouse” を選んだが、「請求先も発送先も両方日本なので、この選択肢はおかしい。これらの選択肢の中から適切なものを指示してほしい」というメールがきて、返信すると対応していただけた。あとで気付いたのだけど Lisle は Baltic Networks の拠点の地域なので、これは Lisle warehouse という名前の業者に関する何かではなく、「Lisle の倉庫まで取りに行く」という意味だったのかもしれない。ちなみに AC アダプタのプラグは US 用で、日本と同じ形で 100V にも対応していたのでそのまま使用できた。品物 $145.00, 送料(FedEx International Economy) $49.59 で計 $194.59。

左 5 ポート、右 5 ポート、 SPF 1 ポートで、基本的にはポートごとに設定をすることができるようだ。ただ、左右それぞれ最大一つ master port を選ぶことができ、左右それぞれ master port を含むポートを 5 ポートの中から任意で選んで master port にぶら下げるとそれらは同一の L2 セグメントとして wire speed で通信できるようだ(この場合 slave port についてはちゃんと設定がいじれないようになっているっぽい)。左右をまたぐ場合は bridge を構成して実現するようになっている。初期設定では ether1 が DHCP で外、それ以外は中というよくある自宅ネットワークを想定したものになっており、 bridge の下に ether1 以外を治める左 master port、 右全部の master と SPF がぶら下がっていた。

まだあまりいじれていないが、メニューを見て色々できるな、と思ったのと同時に、例えばファイヤーウォールの設定画面で言えば iptables の設定で登場する用語がそのまま登場していた。DNS, DHCP に関しては GUI でいじれるが、 dnsmasq みたいに DNS が DHCP と連携するみたいな機能はないのでそこは手動でどうにかするしかなさそう。だいたいの設定は Web 画面でいじれそうで、試していないものの(VPN 等に使うと思われる)証明書発行用 GUI も Web にあった。ターミナルもブラウザから開くことができたほか、 ssh などでも使えるので、通常はルータへの接続のためにシリアルケーブルを用意する必要はなさそうだった(内蔵の液晶で IP アドレスもわかるし)。

とりあえず、最低限のファイヤーウォールだけ設定して、普通にルーティング(IPv4 で、ネットワークは異なって RouterBoard のポートも別だがマスカレードではないルーティング)経由で iperf してみたところ、

------------------------------------------------------------
Client connecting to ***, TCP port 5001
TCP window size: 85.0 KByte (default)
------------------------------------------------------------
[  3] local *** port 54934 connected with *** port 5001
[ ID] Interval       Transfer     Bandwidth
[  3]  0.0-10.0 sec  1.05 GBytes   901 Mbits/sec

さすがにただのルーティングは充分速度が出るようだった。

また、実際に RB3011UiAS-RM 自身で IPv4 マスカレードするように構成して、インターネット(上流に IPv4 を IPv6 にトンネルする ISP 支給のルータがいるので PPPoE ではない)に繋いで www.speedtest.net で試してみたところ、

500Mbps 以上のスループットが出せることが確認できた。ファイヤーウォールの項目数を増やすとどうなるかはわからないのと、そもそも普通の ISP 経由のインターネット経由なのでこれが上限でもない(事実導入前と比べて遅くはなっていない)ので資料としては不充分なものの、自宅のインターネット用としては充分な速度が出ると言えそうだった。

内蔵液晶パネルに何を表示するかは選択可能だが、 Informative Slideshow だと全ポートの合計スループットから電圧、ファームウェアバージョン、時刻まで色々と出してくれる。一方、 Slideshow だとポートごとのグラフを出してくれるようだ。実用的というよりかは眺めていて飽きないという内容といえる。ちなみに、液晶自体は自動パワーオフの時間が設定可能だが、どちらかというと電源ランプの青色 LED が眩しいので(我が家のように)寝床と隔てがない空間に置く場合は、人によって(例えば僕のような場合)は直接光と壁への反射について対策をしたほうがよい。

ちなみに設定は困ってぐぐったら割と MikroTik Wiki が出る。ちなみに設定だいたいをエクスポートする /export というコマンドもあるようだ。

一方、最初に困ったのは AC アダプタで、運よく米国のサイトから仕入れたため AC アダプタもそのまま使用できたが、 DC 側が接触が微妙なようで、少し抜ける側に力が加わっただけで DC 入力が途絶えるようだ。力を加えようと思わないのに途絶えるほどではないのと、アダプタと本体どちらの不具合か、または仕様かもわからないのにどれほどかかるかわからない海外への依頼をするのも面倒なので運用でカバーすることにした(後半に追記あり;やっぱり解決することにした)。本体裏には謎の溝がありアダプタの DC ジャック付近のケーブルはそこにかませて仮固定できる。また、電圧は 10-28V (付属アダプタの出力は 24V)と幅広く受け付けているので直径さえあえば適当な AC アダプタを使うことはできそう。

また、この機種は感圧式タッチパネル付き液晶画面を備えているが、購入当初は(初期設定で 1234 の)暗証番号の入力すらも困難な状態だった。これに関しては Web UI 経由で Recalibrate を押し、その後タッチパネル側で指示に従ってキャリブレーションすることで完全に解消された。

まだ設定は完了していないが、一通り安定導入後も遊び用のポートを空けておいていじってみたいと思えた。

(2017/8/16 追記)証明書の署名操作(実際には秘密鍵の生成から実施している可能性がある)で分単位から十分単位の時間がかかるようだ。WebUI だとすぐ、ターミナルだと一定時間経った後にレスポンスがあるが(後者はタイムアウトとの表示)、実際には証明書の生成作業を行っており、先ほどレスポンスが返ってきた操作は終わっていない、かといってテンプレートの削除は Template being used! というエラーメッセージになる、そして数分待つと削除できる、という状態になった。WebUI の Tools > Profile で様子を見ることができる。見る限り、 CPU を 100% (コア単位)使っているようなのだが、この機械はデュアルコアなので 200% まで使えるので複数同時に走らせたりしなければ大丈夫そうだ。ARM CPU にしても秘密鍵生成、電子署名ってそんな時間かかる……?とは思うが、かかるものは仕方がないのでそういうものと思って使うのがよさそう。

(2017/8/28 追記)AC アダプタがゆるい問題は、秋月電子通商で外径 5.5mm 、内径 2.1mm で中央がプラスの、24V/1.5A の AC アダプタ(1,500 円)を買ってきたところ解決した。少なくとも今のところ、店舗の張り紙によると取り扱っているのはこの大きさ/極性しかないらしいので、大きさがあうものが取り扱われていたのは運がよかったということか。
なお、オンラインにあった説明書で 5.5mm/2mm と書かれていた。また、 [solved] Power connector problem in RB2011-RM and RB3011-RM – MikroTik RouterOS に同様の現象で悩んでいる状況の書き込みがあり、色々と分析がなされていたが、新機種にバンドルされた電源ユニットはゆるすぎて、旧機種のものが新機種にもちょうどよいというコメントや、内径が 2.5mm のアダプタだとゆるくなって、 2.1mm のものが正しいというコメントが書かれていた。秋月電商のアダプタは店の張り紙で内径 2.1mm と明記されていて確かにそのくらいに見えて、付属品は自信はないが 2.1mm より大きいような気はする(下の写真は付属品の方)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください