PiPO X9s を買ってきた

持ち運びを想定していない、机に置く用のデスクトップタブレット端末である PiPO X9s (4+64GB 版)を買ってきた。

まず PiPO の端末の売り場はあちこちに色々あるが、どれがちゃんとしたところかよくわからなかったのでそこからというところだった。Baidu で「pipo」と検索すると、 http://www.pipo.cn/ が公式マーク的なものがついていたので、一旦ここから辿っていくことにした。(結果的に届いた商品のパッケージにも www.pipo.cn の記述があった)

今回はこのサイトの英語版の Contact Us ページに書いてある alibaba.com のリンクである https://pipotech.en.alibaba.com/ から購入した。なお Contact Us のところには公式のように見えるが公式ではないサイトが一つ注意喚起されている。

alibaba.com の会員登録にあたっては、 alibaba.com の上部の “Join Free” からだと会社名の入力が必須(しかもおそらく日本の不動産契約の書類に書くような個人が所属する会社としての記述というより、会社のアカウントとしての立ち位置だと思われる)になっていた。先に商品を選んで Contact Supplier を押し、そのタイミングで出てくるログイン画面から Join Alibaba.com を選択すると “I’m a non-business entity” というチェックボックスが利用可能になり、個人でのアカウントが登録可能になった。ここでチャットでやりとりし、在庫がなかったので在庫が復活するのを待って購入することができた。本体 179USD, 送料 50USD で合計 229USD で、香港から FedEx で送られてきた。(追記:後日FedEx から関税を支払うよう郵便で通知された。「その他税金(Consumption Tax/VAT)」が1000円、「関税その他税金についての特別取扱手数料(Duty Handling Fee)」が1000円で合計2000円だった。)

PiPO X9s と呼ばれる製品は過去に何度か X9s という名前のまま設計を変えているようだ。提供されている OS イメージやウェブ上の資料を見る限りだと少なくとも、

  • Windows 10 + Android デュアルブートモデル (OS イメージがある)
  • Windows 10 シングルブートモデル、電源電圧5V版(OS イメージがある)
  • Windows 10 シングルブートモデル、電源電圧12V版(新マザーボード版で、おそらく今回買ったものはこれ。 OS イメージ

が存在しそうに見える。その中でさらにバリエーションがありそうにも見える。

特に今回買った 12V 新マザーボード版は、ざっくり調べたところおそらくだが

  • 電源電圧(今回買ったもの:12V、旧版:5V (PIPO の X9s 紹介ページでも 2021/5/23 現在 5V ということになっている)。ドライバダウンロードも電圧で区別している)
  • タッチパネルコントローラー(今回買ったもの: Sileadtouch、旧版:Freaktab のやり取りを見るにおそらく Goodix)
  • メインボード(イメージダウンロードページのところに「注意此系统支持新主板,机器电源为12V!」と注意があるので、おそらく 12V 版はメインボードが変わっている)
  • 画面解像度(今回買ったもの:1920×1280、旧版:おそらく 1920×1200 (PIPO の X9s 紹介ページでも 2021/5/23 現在 1920×1200 ということになっている。Android 版のイメージのファイル名にも 1920×1200 を示唆する文字列がある)
  • UEFI (今回買ったものは NTFS パーティションからのブート不可、旧版と思われるイメージの説明書や、FreakTab でのやり取りを見るに、おそらく旧版は NTFS ブート可と思われる)

辺りが異なっていそうに見える。X9s という名前がついていても、見た目やできることは似ていても中身は旧版と別物と思った方が良さそう。従ってトラブルの際はウェブ検索で調べて X9s についての対処が書いてあっても、当てはまるかどうかわからない。

今回買ったものは負荷をかけてもファンの音はしていないようだ。

購入後、ドライバを

dism /online /driver-export /destination:C:\driver-bak

でバックアップして Windows 10 をクリーンインストールし、デバイスマネージャーからバックアップしたドライバを適用しようとしたが、いくつか挙動に問題があった。試行錯誤の結果、以下の感じでクリーンインストールした状態から、見た限り正常に動作するようになった。Sileadtouch はウェブ検索してみると中国製の格安タブレットに多く使われているようで、やや鬼門であるようには思われたが、結局のところはバックアップしたドライバか、 PIPO が公開しているイメージファイルで正常動作させられるようだ。

  • (そのままで当てられるドライバを先に当てたが、このタイミングでやらなくても良いと思われる)
  • “bcdedit -s testsigning on” で、未署名ドライバのインストールを許可
  • ウェブで調べた方法で詳細は覚えていないが、回復メニューから再起動を行い、ドライバの署名を強制しないモードで起動
  • デバイスマネージャーで不明なデバイスになっているデバイスを片っ端からドライバ更新を指定し、バックアップしたドライバのフォルダを指定してインストール
    • Sileadtouch について試行錯誤の結果、dism でバックアップしたものではなく別途公開されている OS イメージに含まれていたものにしたが、中身は同じと思われる
  • この時点で、なぜかタッチパネルが、短く押しても長押し判定されるようになっていた。もとのインストールイメージでも sileadtouch.fw というファイルがあるわけではなく、理由がなかなかわからなかった。
  • “bcdedit -s testsigning off” してテストモードを抜けて再起動すると、タッチパネルが誤って長押し判定されることがなく、正常動作した。理由はわからないが一旦これで進めることにした。
  • スタンバイや電源オフにしても液晶のバックライトが点灯したままになっていた。デバイスマネージャーで Microsoft Basic Display Adapter と表示されていたデバイスについて、 dism でバックアップしたドライバからの更新を試みると、数分経った後に Intel(R) HD Graphics として認識され、スタンバイなどの際はきちんと消灯するようになった。

Intel Atom x5-Z8350, RAM 4GB というスペックなので、 Windows 10 が動くとは言っても速くはないし、今時だとできることは限られている。この辺りはうまくカバーする使い方をする必要があるだろう。

また、液晶と実際に触れる面の間にまあまあの厚さのガラスがあるのか、斜めからタッチすると視差が出るようだ。形状・用途的には斜めからタッチすることも多いと思うが、慣れるしかない。

ちなみに Ubuntu については USB ブートで試してみた限りで、放置すると1分程度でスリープしたり電源が落ちたりする現象があったのと、タッチパネルが正常に使えなかった。ウェブの情報を見るに Silead のタッチパネルを Linux で動かしている人はいるようだが、おそらく Ubuntu そのままというわけにはいかないのと、1分程度でスリープする現象についてはまだ追っていないので、入れようとすると苦労しそうだ。(追記:結局 Ubuntu はインストールできた。PiPO X9s (12V 版)に Ubuntu Desktop 20.04 をインストール参照。)

なお、技術基準適合証明やそれに類する記述は見当たらなかったし、そもそも日本市場を意識しているとも思えないので、おそらく内蔵の無線は日本では合法には使えないと考えて無効化した。内蔵の有線 LAN で困らない場合もあると思うが、今回は小さく安い USB WiFi を背面ポートに刺すことにした。特に邪魔にはならない(実運用上は、今回使わないアンテナや、 AC アダプタの端子の陰に埋もれる)と思われる。

WiFi アダプタを刺した様子

PIPO X9s 背面に ELECOM WDC-150SU2MBK を刺して上から見たところ

(追記)書き忘れていたので追記。PC として機能させられるだけのバッテリーは搭載しておらず、AC アダプタを抜くとすぐに電源が落ちる。輸送時には UN3091 のラベルが貼り付けられ、チャットではバッテリーについて確認した際にバッテリーなしではなく 40mAh と言っていたので、おそらくこれがボタン電池かそれに近いものを刺していると思われる(が、分解するためのねじ穴にアクセスするには接着されたゴム足を外す必要がありそうなので、分解しての確認はしていない)。少なくとも UN3091 はリチウムイオンバッテリーではないので、品質の低いリチウムイオン電池が問題を起こす心配はなさそう。

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